【〈孤独〉と〈つながり〉を愛する上質なフィクション7冊】
あなたのために、孤独と向き合いながらも、人とのつながりの素晴らしさを描いた上質な小説(フィクション)を中心に7冊セレクトしてご紹介します。
お手にとる機会があれば、ぜひ。
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5冊目は、
加藤シゲアキさんの「傘をもたない蟻たちは」です。
いわずとしれたジャニーズ軍団のNEWSのメンバーでもある加藤さん。
だからきっと、書く文章も、軽くてきらびやかでかっこいいんだろうなと思ってました。
しかし、そんな予想は裏切られます。
ストイックでシンプルな文体が、現代の若者の孤独を浮き彫りにします。
ちょっとだけ見栄を張って後悔したり、
まわりと合わせすぎて息苦しくなったり、
好きになりすぎてどうしようもなくなったり。
それが、この短編集に詰まっています。
気楽にどこからでも読めるのがいいですよ。
その中「イガヌの雨」というストーリーが特にお気に入り。
いまのコロナウイルス時代の閉塞感を表しているようで…
ちょっとだけゾッとするお話しです。
「貧しくて過酷な運命のなかにも、希望を見出す」というお話しが多いですが、
「物質的に豊かで恵まれているのに、心の中はどうしようもない深い闇」
という話が多いですね(^^;)
この虚無感を「アノミー」と呼ぶのだそうですが、
この話題はまたあらためて。
恵まれている中でも、絶望と孤独はある。
でも、どこかに希望を見出してほしいものですね。