【〈孤独〉と〈つながり〉を愛する上質なフィクション7冊】
あなたのために、孤独と向き合いながらも、人とのつながりの素晴らしさを描いた上質な小説(フィクション)を中心に7冊セレクトしてご紹介します。
お手にとる機会があれば、ぜひ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
7日目の最終日は、カート・ヴォネガット・ジュニアの「タイタンの妖女」です。
それで事務所の名前を「タイタン」にしたのは有名なエピソード。
私も、ことあるごとにこの本をおすすめして来ました。
(「またか」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、
どうかご容赦くださいませ。)
大金持ちの御曹司で、浪費家の女好き。
最低のゲス野郎、マラカイ・コンスタントがこの話の主人公。
タイタンにいる絶世の美女に会わせてあげようという甘い囁きにだまされ、
宇宙船に乗ったところ、着いた先は火星。
そこで記憶もお金も全部奪われ、火星開拓団として働くことに…
もうひとりの大富豪で宗教家のウインストン・ナイルス・ラムファードの予言通り、
ラムファードの奥さんを妻としながら、
火星→水星→地球→タイタン、とマラカイのたびは続きます。
果たして、マラカイはこの旅の中で、どう変わっていくのか?
「ほんとうにたいせつなもの」をみつけることはできるのでしょうか?
そして、この本の中に、「水星」の章があって、
ここだけ独立させてもいいくらい、美しい。
水星には、ハーモニウムという美しい生き物がいて、
ハーモニウムは、次の2つのメッセージをひたすら歌い続けます。
最初のそれは、「ボクハココニイル、ココニイル、ココニイル」第二のそれは、「キミガソコニイテヨカッタ、ヨカッタ、ヨカッタ」
このハーモニウムがとにかく美しく可愛く、
私はこの本を読んだ中学生の頃、本気で「ハーモニウムを育てる仕事がしたい」
と思い込んでいました。
(で、今、結局それにちかい仕事をしていますが…)
どんなに人は孤独でも、
つまるところ、この2つのメッセージがあれば生きていけると思ってるんです。
「ボクハココニイル、ココニイル、ココニイル」「キミガソコニイテヨカッタ、ヨカッタ、ヨカッタ」