あなたの毎日に凸凹を。

ノイズに埋もれた毎日を送っていませんか?

【でこぼ子選・上質なフィクション7冊〜6】私の消滅〈中村文則〉

【〈孤独〉と〈つながり〉を愛する上質なフィクション7冊】

 あなたのために、孤独と向き合いながらも、人とのつながりの素晴らしさを描いた上質な小説(フィクション)を中心に7冊セレクトしてご紹介します。

 

お手にとる機会があれば、ぜひ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 
6冊目は、中村文則さん「私の消滅」です。
 
「このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。」
 
こんな衝撃的な言葉で始まる小説。
 
これでページをめくらないでいられる人、いませんよね(笑)
 

f:id:a-netfarm:20200618114409j:plain

私の消滅(中村文則
 
孤独を描かせたらピカイチの、中村文則さん。
 
「銃」や「教団X」など、この方のエログロ追い詰められ系の純文学が大好きです。
(これを純文学というのかどうかも謎ですが)
 
どんなにエロでグロで絶望的であっても、
それを綴る言葉が洗練されているのです。
 
この「私の消滅」も、愛した女性が姿を消した。
その行方を追う「私」と、凄惨な過去を綴る手記。
 
その手記を読み進めていくうちに、
脳を操作して記憶を変えることができる医者が登場して、
「あれーー?なんだかおかしいぞーー?」
と嫌な予感に満ちてきます。
 
「私」は誰?「彼女」は誰?
もしかして、「私」が犯人なのか?
 
「I」という存在があいまいになってくることで、
読んでいる自分もわからなくなる。
 
今まで生きてきた記憶さえも、ほんとうに正しかったのか?
自分で楽しい記憶だけを捏造しているのか?
 
そんな足元が揺らぐ感覚にさせてくれる、
恐ろしくも楽しいフィクションです。
 
私の消滅 (文春文庫)

私の消滅 (文春文庫)

 

 

(追記)

中村文則さんの最新作「逃亡者」

こちらも中村文則さんワールド炸裂です。

お好きな方はぜひ。

 

 

逃亡者

逃亡者

  • 作者:中村 文則
  • 発売日: 2020/04/16
  • メディア: 単行本